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2018.06.06 Wednesday

置き屋根

置き屋根

 

 

 

置き屋根は良い!

 

置き屋根とは屋根を二重に葺く(屋根をダブルスキンとする)工法のひとつ。

伝統的工法で日本各地で見ることができる。形状から想像すればすぐ解ることだが、台風や強風の影響を受ける太平洋沿岸地域にはない。中部地方の山間部から日本海側にかけて良く見かける。しかしながら研究調査や文献が極めて少ないので全貌はわからない。わたしが知るかぎりでは、主に倉に採用されている。住まいで採用されていることはあまりない。それにはいくつかの推測が成り立つ。1 倉は内部の容積をできるだけ確保するため小屋裏空間がないものが標準的。したがって外気の影響をすこしでも緩和するために置き屋根とした。2 倉は火災から守る為土蔵とするものが多いが、屋根面にも火災対策として土を葺く場合は工法上、後付け消耗パーツとしての屋根として置き屋根とした。3 夏場の暑さ対策のみならず、寒い地域では冬場の氷柱対策としても効果的等々が考えられる。

 

以前長野県安曇野で、築200年以上経った置き屋根土蔵の解体現場に幸運にも立ち会うことができた。

その時の調査では、置き屋根は屋根に土をかぶせたあと合掌による木組みで、その名の通り置いてあるだけで下部の構造軸組みとは拘束されていなかった。つまり屋根は本当に乗せてあるだけ。「すごい強風の後は、時々屋根が田んぼの中に落ちてたよ。」という話も聞いた。なるほど本体の土蔵は強固に構え、傷みが進行しやすい屋根部は消耗品として考え、寿命が来れば葺き換えているということだ。長い目で見ればまったくもって合理的である。

 

小屋裏にじゅうぶんなスペースを取らなくなった現代の住まいづくりにおいても、屋根通気や壁通気は熱環境制御には効果的であるが、デリケートなつくりになりおおらかさに欠ける。15年ほど前置き屋根をつくる機会にめぐまれ現代版置き屋根の家を設計した。それは倉庫のようなワンルームの住まいで、夏場にエアコンのみで対応するには室内ボリュームが大きすぎた。そこで夏場の遮熱対策として置き屋根を採用した。評判はすこぶる良い。以来添付の写真のもので4軒目になる。もちろん伝統的置き屋根工法とはちがい、乗せるだけというわけにもいかないので、屋根は本体軸組みと緊結している。その場合は内外を貫通する金物によるヒートブリッジには気を使うことになる。やはり本来は乗せるだけ〜というのが正解かもしれない。「ときどき飛んでいったよ〜」がゆるされていた時代に思いをはせる。

 

 

*日本では酒田にある山居倉庫が有名。これは夏場のフェーン現象に拠る暑さから倉の米を守る為の置き屋根。世界に目を向けるとスウェーデンにある名建築らるふ・アースキンの自邸(わたしの大好きな住宅の一つ)は北国の置き屋根住宅である。

 

 

 

 

 

 

 

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